- セブンの新サービスが宅配市場に参入
- 既存の宅配ピザチェーンとの競争関係
- 外資系フードデリバリーとの共存の可能性
- コンビニ独自の強みと今後の展開
- フードデリバリー市場の未来と変革
1. セブンの新サービスが宅配ピザ市場に参入
セブン―イレブン・ジャパンが2024年8月から本格展開する「焼きたてピザ宅配サービス」は、国内の宅配フード市場に新たな風を吹き込む可能性がある。既存の約30店舗で試験導入したところ好評を博し、今後200店舗へと拡大される。利用者は専用アプリ「7NOW」を通じてピザを注文でき、最短20分で自宅まで届けられるという手軽さが魅力だ。
セブンは全国の店舗を在庫拠点として活用できるため、これまで宅配ピザチェーンが持つ「専用店舗を構え、焼きたてを提供する」という強みを部分的に再現しつつ、店舗の強みを生かした形でサービスを提供することができる。これにより、宅配ピザ市場に新たなプレイヤーが参入する形となり、競争が激化することが予想される。
2. 既存の宅配ピザチェーンとの競争関係
セブンのピザ宅配が拡大することで、ドミノ・ピザ、ピザーラ、ピザハットといった既存の宅配ピザチェーンとの競争がどう変化するのかが注目される。これらのチェーンはオリジナルのレシピや特化したメニュー、多彩なプロモーションを武器に市場をリードしてきた。
一方で、セブンのピザは「マルゲリータ(780円)」と「照り焼きチキン(880円)」の2種類に絞られており、メニューの幅では劣る。しかし、店舗数が圧倒的に多いため、「すぐに届く」という利便性では既存の宅配ピザチェーンを上回る可能性がある。また、セブンのピザは店頭販売も行っているため、消費者が「宅配が必要ない時は店頭で購入」という選択肢を取れる点も大きな違いだ。
3. 外資系フードデリバリーとの共存の可能性
ウーバーイーツや出前館、Woltといった外資系フードデリバリーサービスは、レストランや飲食チェーンのメニューを自宅に届けるプラットフォームとして急成長している。これらのサービスとセブンの「7NOW」は、一見すると競合関係に見えるが、共存の可能性もある。
ウーバーイーツなどのデリバリーサービスは、多様なレストランの選択肢を提供できる点で優位性があるが、配達時間や配送料の面で課題もある。セブンの「7NOW」は、全国のセブンイレブンの在庫を活用できるため、コンビニ独自の商品ラインナップを短時間で届けられる。これにより、外資系フードデリバリーとは「選択肢の広さ vs. 迅速な配送」という形で棲み分けが可能となる。
4. コンビニ独自の強みと今後の展開
セブンがピザ宅配を本格展開する背景には、「全国津々浦々に展開する店舗網を活かした配送力」がある。既存のデリバリー業者が「拠点を増やす」ことで市場を拡大しようとするのに対し、セブンは既存の店舗を活用することでスムーズな拡大が可能だ。
また、「ピザ」だけではなく、アイスクリームや冷凍食品、酒、日用品といった幅広い商品を届けられる点も、セブンの配送サービスの大きな強みである。実際に、「7NOW」の売上は前年比3.6倍に増加しており、ユーザーの需要が高まっていることが伺える。
今後、セブンがどのような商品ラインナップを追加するのか、また他のコンビニチェーンがどのように対応するのかが、市場の変化を占うポイントとなる。
5. フードデリバリー市場の未来と変革
セブンのピザ宅配参入は、フードデリバリー市場全体に影響を与える可能性がある。特に、
- コンビニが「デリバリー店舗」としての機能を強化することで、外食チェーンの需要が奪われる可能性
- 既存の宅配ピザチェーンが新たな戦略を打ち出す契機となる
- フードデリバリーサービスとの提携が進み、より効率的な配送網が形成される といった変化が予測される。
さらに、今後の技術革新や物流網の強化によって、より短時間で多様な商品が届く未来が実現するかもしれない。セブンのピザ宅配が成功すれば、他のコンビニチェーンも同様のサービスを展開する可能性があり、宅配市場全体のさらなる競争激化が見込まれる。
フードデリバリーの常識が塗り替えられつつある今、消費者にとっては「より便利で手軽に美味しい食事が楽しめる」時代が到来するかもしれない。